鰹節のおはなし

<1> 鰹節について


“鰹節”は、魚の種類、製法、削り方による血合いの有無などによって分類されます。
カツオ、マグロなどの魚の身を煮熟したものが「なまり節」、それを焙煎、乾燥したものが「荒節」、
さらにその表面を削ってカビつけしたものを「枯節」といい、関西では香りの強い「荒節」が、
関東では「枯節」が好まれます。


原料となる魚が違うと、“鰹節”の性質は異なります。
かつお節、まぐろ節は、淡白でさっぱりした味で色合いの薄いだしが取れます。
まぐろ節は削ったときに白い状態であることが重要視されるそうです。
そうだ節は、じっくり時間をかけて旨味を引き出すことで濃厚で色のついただしが取れるので、
麺類用のだしなどに向いています。
さば節は、香りはあっさりしているものの、こくのある濃いだしが取れ、醤油や味噌との相性は抜群です。
むろ節は、薄く黄色みを帯びただしが取れ、魚臭も少ないのでまろやかでさっぱりしただしになります。
このような特徴をいかして、いくつかの種類をブレンドすることにより、
独自のだしを作っているお店も多いようです。
鰹節は香りが重要なので、料亭などでは『一日分だけ削って届ける』スタイルが定着、
よいかつお節ほど香りがとんでしまうのを防ぐためです。




<2> 鰹節のうま味


日本料理では鰹節と昆布でだしをとります。中国料理では鶏ガラと野菜のタン、
西洋料理では牛すね肉と野菜のブイヨンを利用します。
これらはすべて動物性食品(肉、魚)と植物性食品(野菜、海藻)の組合せです。
これは肉や魚に含まれるイノシン酸といううま味成分と、
野菜や海藻に含まれるグルタミン酸といううま味成分が相乗効果を持つ、
つまり一緒に利用することによって、強いうま味をだすからなのです。
イノシン酸とグルタミン酸を1:1で混合すると、うま味は
7.5倍にもなります。

鰹節などのうま味は、料理を食べたときだけではなく、
続いて食べる料理のうま味を相乗的に強める働きをします。
食事のときに、まずは汁物を一口、というのは食事中に展開する味覚にもプラスの影響を及ぼします。

だし汁に限らず、肉や魚と、野菜や昆布をとりあわせて食べることは、
料理のうま味もアップし、栄養バランスを保つことにもつながりますので、
栄養面から考えてもとても合目的的です。



<3> 関東のだしと関西のだし、塩分を減らすヒント

 だし汁の色、味について「東は濃く、西は薄い」とよく言われます。
関西では「色は薄いがだしが利いている(うま味が強い)」とも言われています。
カップ麺でも、関東で販売しているものと関西で販売しているものでだしの味が異なるのは有名な話。
では実際はどうなのでしょうか。

関西のだし汁は色は薄く、塩分も少なく、そして実はうま味強度も低い傾向にあります。
これは鰹節や昆布のだしの香りが消されずに残っているので、
うま味強度が弱くても「だしが利いている」と感じるためです。
鰹節だしの香りをうまく利用することで、塩分を減らして健康にもいい、
そしておいしい料理を作ることができます。



<4> 鰹節の抗ストレス・疲労効果



 鰹節、あるいは鰹節だしは古来より滋養強壮効果、疲労回復効果があると伝承的に言われています。
これまで、鰹節だしの継続摂取により、気分感情状態が良好になること、
また、疲労感、目の疲れが改善することが確認されています。
また、慢性的肉体疲労、眼精疲労、精神疲労、ストレスなどの改善、回復効果、降圧作用があることも
示唆されています。これは鰹節だしに含まれる種々の成分の複合効果によるものであると考えられます。


 つまり、たまに疲労に対して効果があるだしを飲んでみよう、ではなく、
日々の食生活の中に取り入れていくことが大切です。



<5> 参考文献

1)だし読本、『専門調理』、19902月号、61-67.
2)『別冊専門調理』日本料理技術百科第一巻 だしタレ調味料と基礎日本料理、柴田書店(1995)

3)都甲 潔、『旨いメシには理由がある−味覚に関する科学的検証』、角川書店(2001).
4)山野善正・山口静子編、『おいしさの科学』、朝倉書店(2004).
5)真部(口羽)真里子・落合由佳・高村仁知・的場輝佳:東海道「うどんだし汁」の調査による味の地域的特徴の検証、
  日本家政学会誌、
4759-64(1996).
6)的場輝佳:なぜ関西の料理は薄味で薄色なのか:日本調理科学会誌、3172-73(1998).
7)石崎太一・黒田素央・久野真奈見・北面美穂・早渕仁美:鰹節だし摂取が単純作業負荷時の精神疲労・
  ストレスおよび作業効率に及ぼす影響、日本食品科学工学会誌、
54343-3462007).
8)河野一世:かつお節とかつお節だしに関する調理科学的・食文化的考察、日本調理科学会誌、412-10(2008).

★1)に関東と関西の鰹節の好みの差について、靭鰹節店のコメントが引用されています。

(大阪国際大学人間科学部 伊藤知子)


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